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暮らしを支えるサプライチェーンとは?具体例や定義とあわせて重要性も解説!

サプライチェーンとは

サプライチェーンという言葉は、私たちの生活に欠かせない“物の流れ”を表している言葉です。

本記事では、そのサプライチェーンについて具体例や定義もあわせて詳しく解説していきます。経営用語やサプライチェーン自体に興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

サプライチェーンとは

サプライチェーンとは、商品の生産や販売だけというものではなく、商品の企画開発の時点から顧客に届くまでの全ての流れ(商品企画開発→原材料調達→生産→物流→販売→購買)のことをいいます。

Supplyは英語で「供給」、Chainは「つながり・鎖」という意味を持ち、ビジネスモデルや業界によって、様々な形態があります。

サプライチェーンの具体例

実際にどのような形態があるのか、サプライチェーンの具体例をいくつか解説していきます。

Continuos Flow Model(連続フローモデル)

伝統的なサプライチェーンモデルの内の一つが、Continuos Flow Model(連続フローモデル)です。季節やトレンドの影響をあまり受けないため、需要にほとんど変化がないのが特徴で、原材料の調達や生産加工などサプライチェーンの流れを大きく変える必要がありません。

原材料さえ継続的に調達できていれば、流れを止めたり変えたりする必要がないため、コストを大幅に抑えられるのが最大のメリットです。日本でいうなれば、大手自動車メーカーのトヨタ自動車グループが、「ジャスト・イン・タイム」としてContinuos Flow Modelを導入しています。

Flexible Model(フレキシブルモデル)

Flexible Model(フレキシブルモデル)は、生産開始の迅速さに加え、需要が落ちるとすぐに生産停止ができるのが特徴です。需要の高いシーズンが短期間あった後に、需要が低いシーズンが長期間ある、季節商品を打ち出す企業に適しています。

Flexible Modelを採用している代表的な企業は、有名アパレルブランドの「ZARA」を展開しているインデックス社です。柔軟性の高いサプライチェーンを採用したことで、ZARAはコロナ禍に翻弄されることなく、2021年度売上高を36%UPの2兆9700億円達成に成功しています。

Fast Chain Model(ファストチェーンモデル)

多くのファストファッションブランドが採用しているのがFast Chain Model(ファストチェーンモデル)です。素早く商品を市場に送り出せる流れの速さが特徴で、一時期しかアピールできないトレンド製品を販売する企業に適しています。

実際に採用している代表的なブランドは、NIKEやUNIQLOなどです。特にスポーツアパレルブランドであるNIKEに関しては、ZARAと同様に、コロナ渦の影響に動じず2021年の業績利益は増加しています。

サプライチェーンとその他チェーンとの違い

続いて、サプライチェーンと混同されやすいその他のチェーンとの違いを解説していきます。

バリューチェーンとの違い

バリューチェーンは、サプライチェーンと最も混同されやすいチェーンです。サプライチェーンとバリューチェーンは、対象とする流れは同じですが、「目的」が違います。

サプライチェーンは、その名称の通り「供給」に焦点を当て、供給体制を改善向上するのが目的です。一方のバリューチェーンは、「価格」に焦点を当てて、価格の最大化や最適化を図るのが目的です。

デマンドチェーンの違い

デマンドチェーンとの違いは、プロセスの違いです。デマンドチェーンとは、市場需要や顧客のニーズに焦点を当て、商品やサービスを供給するプロセスのことを表します。

サプライチェーンは、製品の企画から生産・流通までのプロセスのことを表すため、全くの別物です。

サプライチェーンの重要性

供給に焦点を当てているサプライチェーンの重要性は、様々な技術が発展するのと比例して高まっています。現代にサプライチェーンというプロセスがなければ、多くの企業が誰も求めていない商品を作り続け、余計なコストがかかり続けているでしょう。

様々な企業が、無駄なく顧客のニーズに沿った商品を作るには、サプライチェーンが欠かせません。

サプライチェーンが抱える課題

非常に多くのメリットがあるサプライチェーンですが、一方では課題も抱えているのが事実です。サプライチェーンが抱える問題を見ていきましょう。

グローバル化における適切な対応ができていない

近年では、事業拡大のために海外に生産・販売拠点を置く企業が増加しています。しかし、拠点を置く国にはその国独自の法律が存在するため、グローバル化における適切な対応が難しく、サプライチェーンを最大限に生かせる環境整備が課題です。

日本国内との連携の取り方次第で、企業が影響を受ける可能性もあるため、デジタル技術を活用した課題解決が求められています。

リスクマネジメントが最適化できていない

サプライチェーンは、連鎖の多さと比例して、リスクヘッジの難しさも増加します。災害の発生や商品の不具合、災害による原材料の高騰などが起これば、サプライチェーン全体が停止する事態も起こらないとは言い切れません。

サプライチェーン自体は素晴らしいものなので、リスクマネジメントをどのように最適化するのか、見直しが重要視されています。

閉鎖的になり顧客のニーズが掴めない

サプライチェーンを長年活用していると、顧客との距離が近くなるのではなく、関連会社との結びつきが強くなってしまう傾向にあります。関連会社との結びつきが強くなることが悪いのではなく、閉鎖的になりやすいため、顧客のニーズが掴めない原因に。特に、BtoB(Business to Business)企業のようなタイプは、閉鎖的になる傾向が強いといえます。

サプライチェーンが閉鎖的になると、顧客のニーズが掴めず、適切な対応ができなくなってしまいます。サプライチェーンの良さを生かすことができないため、常に向上心や顧客のニーズを調査するなど、企業側の努力が大切です。

コスト増加やロスの発生リスクがある

サプライチェーンが上手く可視化されていない場合、コスト増加やロスの発生リスクが考えられます。原材料の調達や生産、在庫管理に関するコストが増加し、企業にとっては大きな損失となるため、サプライチェーンの最適化や可視化がどれだけできているかが重要です。

仕組みそのものが複雑化している

企業によっては、サプライチェーンの仕組みそのものが複雑化していることによって、適切なリソース配分ができていないケースがあります。

現在日本の企業に浸透しているサプライチェーンは、長年のビジネスの中で生まれ、様々なシーンに合わせて改良を続けたものです。それ故に、プロセスが複雑化しており、リソースの最適化も難しい状態になっています。

サプライチェーンの複雑さは、リソース配分の適切化ができない状況を生むため、企業にとって悪影響を与える問題です。常にサプライチェーンは可視化し、適切にリソース配分ができているかどうか、分析する必要があります。

サプライチェーン攻撃の問題

取引先や子会社のサプライチェーン企業に対して、サイバー攻撃を仕掛けられる事案も発生しています。狙われるのはセキュリティの高い企業で、サイバー攻撃によって情報を流出させ、損失を出すことが目的です。

サプライチェーンの攻撃は、年々増加の一歩を辿っており、2022年にはトヨタ自動車の主要プライヤーである小島プレス工業がダーゲットとなり、マルウェア被害を受けています。その際、14カ所の工場で28ラインが影響を受けて停止。約1万3000台の生産を見送らざるおえない被害でした。

自社は完璧なセキュリティを施していたとしても、委託先や子会社が攻撃のターゲットとなりかねないため、定期的な監査やセキュリティ状況の開示などをしておくことが求められます。

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、サプライチェーンを最適化するための取り組みのことです。サプライチェーンが常に最適化されていれば、無駄なコストがかからず企業の収益が向上しやすくなります。

ロジスティクスとの違い

サプライチェーンマネジメント(SCM)と同義語であると勘違いされやすいのが、ロジスティクスです。ロジスティクスもサプライチェーンと同様に、原材料の調達から顧客や消費者への配達の物の流れを管理する仕組みのことを表します。

サプライチェーンマネジメントとの違いは、企業単体の中で完結するか、しないかです。ロジスティクスのプロセスは、企業単体の中で完結します。一方のサプライチェーンマネジメントは、プロセスの中にメーカー・小売店・物流企業といった自社以外の複数の企業がプレイヤーとして活躍するのが特徴です。自社以外の企業の協力を得て、物の流れを最適化しています。

つまり、サプライチェーンマネジメントは外部の企業の協力を得ているのに対し、ロジスティクスは自社のみで物の流れが完結するため、サプライチェーンの一部を構成する要素でもあるというわけです。

サプライチェーンマネジメント(SCM)のメリット

サプライチェーンマネジメント(SCM)を行なうと、どのようなものが最適化されるのか、メリットを見ていきましょう。

人的リソース

サプライチェーンマネジメントによって、必要な部分に必要なだけの人が配属できるようになるため、人的リソースの最適化が可能です。人手不足や人手過多を改善するため、人件費関連のコストも最適化されます。

情報リソース

情報リソースの最適化も、サプライチェーンマネジメントのメリットです。サプライチェーンマネジメントでは、サプライチェーン間の企業で、情報共有をすることが含まれるため、情報リソースの最適化がされ、人的・物的・金銭的リソースといった様々なリソースの効率化がアップします。

情報を利用したサプライヤーの再選出では、環境へ配慮した企業を採用することで、SDGsの達成をすることも可能です。

物的リソース

サプライチェーンマネジメントによって、物的リソースが最適化されます。製品供給や原材料調達の過剰を回避することができるため、倉庫の保管費用コストの削減に繋がります。

金銭的リソース

全ての業務が最適化されることによって、業務上の無駄を改善できるため、金銭的リソースが最適化されます。サプライチェーンマネジメントの最大のメリットともいえる部分です。

サプライチェーンマネジメントの注意点すべき点

サプライチェーンマネジメントには様々なメリットがありますが、行なうためには管理ツール導入費用や管理費用がかかります。また、サプライチェーンマネジメントを導入をしてすぐさま成果が期待できるものでもありません。

全体に浸透させるには時間と金銭的な負担がかかり続けることになるため、安易に導入をしないようにしましょう。しかし、結果が出るまでサプライチェーンマネジメントを継続できると、企業にとっては様々な利益が期待できるため、しっかりと判断をした上で導入をするのがおすすめです。

まとめ

私たちの生活は、サプライチェーンをはじめとした便利な仕組みがあるからこそ、便利だといえます。

もちろん課題を抱えてはいますが、様々なメリットも期待できる仕組みです。

サプライチェーンマネジメントなどを導入して最適化を進めて行くと、より便利な仕組みが誕生する期待ができるでしょう。

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