受注率向上、製品開発力強化。椿本チエイン社とPALの協業がもたらした相互価値
CLIENT
- メーカー単体では、ハード・ソフト提供がメインとなり、実際の現場運営を含めたサービスの提供が困難
- 自社だけでは「現場運営」の経験値が無く、ニーズがあっても対応できない
- 物流倉庫内のマテハン導入においてPALと協業
- 2017年神戸センター(ホームセンター)、その後船橋センター(スーパーマーケット)でソーター導入
- 設計・提案から運用まで一貫したソリューション提供を実現
- 業界トップ企業での導入実績により、新規引き合い・受注確率が向上
- PALとの共同提案により、荷主から直接相談を受ける関係に
- 運用現場からのフィードバックにより製品改良・新製品開発のノウハウを獲得
- 船橋センター(スーパーマーケット)は業界の先行事例として注目を集め、ひっきりなしに見学者が訪問
INDEX
株式会社椿本チエインは、1917年創業のチェーン・マテリアルハンドリング機器の総合メーカーです。マテハン事業部では、物流の「仕分け(ソーター)」領域で2000年以前から実績を積み重ね、小売・通販など幅広い業界で採用されています。
近年、荷主からは単なるハード・ソフトの提供だけでなく、運用面も含めた全体ソリューションを求められるケースが増加しています。そこで同社は、以前から交流関係のあったPALと協業し、設計・提案から運用まで一貫したソリューション提供を実現することにしました。2017年のあるホームセンター企業の物流拠点への導入を皮切りに、業界注目の先行事例を生み出してきました。
今回はマテハン事業部の桑尾様に、PAL選定の背景から協業の実際、今後の展望についてお話を伺いました。
展示会での出会いから始まった、10年の信頼関係
──PALとの出会いのきっかけは何だったのでしょうか?
2013〜2014年の展示会で、当時PALさんの役員だった方が弊社の製品について非常に熱心に質問してくださったのがきっかけです。それ以来、仕事の有無に関わらず定期的に情報交換を続ける関係を築いてきました。
──当時のPALはどのような印象でしたか?
PALさんの本社を訪問した際、当時としては非常に画期的且つオープンな環境に驚きました。ソファが置いてあったりと、10年前にはそういった環境の会社はあまりなかったので印象的でしたね。「新しいことにどんどん取り組むスピード感」を強く感じました。
特に印象的だったのは、他社のように業務請負に徹するのではなく、運用からマテハン設備の提案、物流センターの構築設計まで自社でやっている姿勢です。多くの元請け企業は業務請負になりがちなのですが、PALさんはそうではなかった。色々やっている面白い会社だなと感じました。
──当時から10年以上のお付き合いが続いていますが、なぜこのような関係性が築けたのでしょうか?
まず、人も信用できるということです。一緒に仕事をしていて面白い。モチベーションが上がり、仕事が楽しいと感じられる関係性というのは、やはり大切だと思います。
今ではただのビジネスパートナーではなく、社内の勉強会にPALさんを講師として招くこともあります。一般的なマテハンメーカーと物流会社の関係性を超えた協力関係を築いていると思います。
メーカー単体の限界と、PALとの協業という選択
──関係性を継続する中で、本格的に協業することになった背景を教えてください。マテハンメーカーとして、どのような課題を感じていたのでしょうか?
私たちメーカーは、ハードとソフトを組み合わせたソリューション、つまり物流現場を改善する「材料」を提供するのがメインです。マテハンを使ったソリューション提案は可能なのですが、「現場の運営」までは担うことはできません。
しかし、「現場の運営」も含めた提案が必要なケースが出てきます。そこで、PALさんと組む必要がありました。
──協業相手として複数の選択肢があったかと思いますが、最終的にPALを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
結局は信頼です。私たちのお客様に協業先として紹介したとしても、「そんな運用できない」と言われてしまっては困ります。以前からの付き合いで信用・信頼がある会社であることが重要でした。
PALさんはアパレルから食品まで幅広く展開しており、運用の知見も豊富です。そういった信頼面もあり、以前からお付き合いがあったからこそ、安心して協業できると判断しました。
ホームセンター企業の物流拠点での協業と、困難を乗り越えた関係性
──2017年に、あるホームセンター企業の物流拠点(神戸)でPALと協業されたとのことですが、どのような取り組みだったのでしょうか?
PAL側が数億円を投資してソーターを導入するという案件でした。荷主と元請けに対して、私たちとPALさんで共同プレゼンを実施しました。
この案件は、荷主が拠点の拡大を検討する重要なタイミングでした。通常は荷主や元請けが設備投資するところ、PALさんが大きな投資をしてマテハンまで導入するという姿勢が、荷主からの信頼に繋がりました。その結果、今では荷主から直接相談を受ける関係になりました。次世代のマテハンについても相談を受けるようになっています。
──別の拠点での協業で、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
立ち上げ時に、システムの不具合や改善点が多くあった案件がありました。他社なら「メーカーで解決してください」と言われるところですが、PALさんのSE担当者を中心として、課題解決へ繋げていただきました。
必要なデータ提供や現場調査を、早いレスポンスで嫌な顔1つせずやっていただきました。結果的に弊社のソリューションの質も高まりました。いかに改善させるかというところに本気で向かっている気持ちがある。それがすごく印象的でした。
──お互いにビジネスとして利害がある中で、意見の相違や調整が難しい場面はありましたか?
ぶつかるというより、意見の出し合いです。構築時に「こうやった方がいい」「運用からすれば、こうする方がいい」というやり取りはありましたが、特に大きな衝突はありません。お金に関しては率直に交渉しますし、無理な時ははっきり「無理です」と伝える関係性を築いています。本音で話せる関係だからこそ、スムーズに進められるのだと思います。
協業がもたらした価値──受注率向上と製品開発力の強化
──PALとの協業によって、どのようなメリットがありましたか?
マテハンの採用に於いては実績が重要になります。業界トップ企業における導入実績が、新規検討するお客様への安心感・信頼感に繋がりました。
また、PALさんは私たちが荷主と直接会話することも嫌がりません。他の協業先だと「うちの顧客には直接話さないでください」と言われることもあるので、非常にありがたいです。こうした実績や顧客の声を活かして、結果として引き合いや受注確率が向上し、数字にも繋がりました。社内のエンジニアや設計者のノウハウも蓄積されています。
──PALとの協業を通じて、製品開発面で得られたものはありますか?
運用面から「ここがこうだったらもっといい」という、製品改良や新製品に繋がる視点をいただけます。私たちメーカー視点だと「こういう使い方」と思ってしまうのですが、運用面から見た視点は非常にありがたいです。また、若手社員も立ち上げ時は大変でしたが、すごくいい経験になり成長しました。
──協業を通じて、エンドユーザーである荷主企業にはどのような価値を提供できたのでしょうか?
スーパーマーケット業界トップティアのグループ子会社が運営する物流拠点(船橋)では、グループ子会社主導でDX・機械化した初の事例となりました。
既存の建物内でどう機械化するかという業界共通の課題に対する先行事例として、高い評価を得ています。今もひっきりなしに見学者が訪れていますし、製品の知名度向上だけでなく、変わった使い方の提案により多くの企業に興味を持っていただいています。
「運用×モノづくり」の融合を目指して
──今後、PALとの協業をどのように発展させていきたいとお考えですか?
お互いが出資して会社を作るというアイデアは、面白いかもしれないです。現場の運営ができる会社とマテハン製品を作れる会社が組み、物流業界へサービス提供するという形です。物流倉庫で使うものは当社のもので、現場の運営はPALさんが行う。実際の運用から新製品の開発に繋がる形を目指せれば面白いと思っています。
運用目線での視点が製品改良に繋がる形です。AmazonやJD.comのように、現場の運営からマテハン製品の製作を手掛け、日々使いながら製品の磨き上げができる形が実現したら、非常に面白いと考えています。
──最後に、これからPALとの協業を検討する他の企業へメッセージをお願いします。
PALさんはスピード感があり、新しいものをどんどん取り入れる、パワーが強い会社です。ただ、一方的にパワーで押し込んでくるのではなく、コミュニケーションを取りながら進められます。そのパワーに圧倒されることなく、本音で付き合っていけば、絶対いいものをお互い生み出せると思います。
まずは「腹を割ったお付き合い」を。本音ベースで付き合うことが、お互いにとって一番いい結果になると、長いお付き合いをさせていただいて感じています。