2030年の物流ビジネスモデルとは?産業構造から見る歴史的変遷
INDEX
はじめに
日本の物流の形が、一体何の影響を受けて変化しているかご存じでしょうか?
実は、その答えは私たちの「産業や暮らし」の変化にあります。
時代ごとのビジネスの主役が変わるたびに、物流の役割も変化していきます。
今回は、高度経済成長期から2030年の未来まで、物流ビジネスにおける「4つのフェーズ」について紹介していきます。
【第1期:1950〜1980年代】1PL・2PLの時代
高度経済成長期からバブル期にかけての日本は、ものづくり(製造業)が社会の中心にあり、「作れば売れる」という時代でした。
この時代の物流に求められたのは、メーカーの出荷都合に合わせて、「大量に作られた製品を目的地へ確実に届ける」ということでした。
この役割を果たすために主流だったのが、「1PL(自社物流)」と「2PL(輸送単体外注)」という2つの形です。
「1PL」とは、メーカーが自前で倉庫やトラックを用意し、自社のスタッフで全てのスケジュールを管理して配送までを完結させるスタイルです。
一方の「2PL」は、全体の管理はメーカーが行いつつも、「運ぶ作業(輸送)」だけを外部の運送会社に委託する形を指します。
「自社で運ぶ」か「運送力を直接買う」
このように、当時はメーカー主導の自社完結型モデルが機能していた時代でした。
【第2期:1990〜2000年代】3PLの時代
バブル崩壊後の1990年代、日本の産業はサービス業中心へとシフトし、人々の暮らしにはスーパーやコンビニが浸透していきました。
消費者ニーズも「必要なものを、必要な分だけ買いたい」という多品種少量消費へと変化し、ビジネスの主導権はメーカーから「お店(小売・流通)」へと移り変わります。
これに伴い、物流の役割もお店の都合に合わせて「必要なものを、必要な時に、細かく届ける(多頻度小口配送)」というやりくりへと変化していったのです。
しかし、この複雑な配送や在庫管理を、1PLや2PLのようにメーカーが抱え込もうとすると、コストも手間も膨大になってしまいます。
そこで広がったのが、商品の保管から店舗への配送までを、物流の専門事業者に一括委託する「3PL」という仕組みでした。
メーカーは商品開発などの本業に集中し、物流実務は専門事業者が動かす。
自社完結型から、「分業」という形へと物流ビジネスがシフトしたのが、このフェーズです。
【第3期:2010年代】4PL(インテグレーター)の時代
2010年代は、スマートフォンの急速な普及に伴い、ネット通販(EC)が人々の暮らしに深く定着した時代です。
消費者は「いつでも買えて、すぐに届く」ことを求め、物流においてもデジタルへの対応が必須となりました。
このECの拡大によって、多様な配送ルートや在庫を効率よく動かすには、従来の「倉庫での作業を専門企業に委託する」(3PL)といった部分的な効率化だけでは追いつかなくなりました。
注文データや複数の倉庫の在庫状況、配送を担うトラックの手配までをリアルタイムで把握し、サプライチェーン全体で連携させる必要が出てきたのです。
こうした背景から、現場を動かす実務にITや情報システムを掛け合わせた「4PL」というモデルが注目されるようになりました。
単に荷物を動かすだけでなく、データを使ってサプライチェーン全体の流れをコントロールする「4PL」という仕組みに伴い、その全体最適をプロデュースする「インテグレーター」という専門事業者が活躍し始めたのも、この第3期の特徴です。
【第4期:〜2030年】イネーブラーの時代
現代から2030年にかけて、物流は社会の維持に不可欠なインフラとして再定義されつつあります。
経済産業省や国土交通省は、深刻な労働力不足や環境負荷を背景に、従来の企業単独の効率化を競う「競争」から、競合企業や異なる業種の垣根を越えてリソースを共有する「協調」へのシフトを促しています。
その具体的な道標として示されているのが「フィジカルインターネット」という構想です。
これは、パレットの規格やデータ形式を共通化(標準化)し、事業者同士でトラックや倉庫などを共同利用して、社会全体の積載効率を高めることを目指しています。
このように、個社を越えて物流網を共有するための共通基盤を整備し、物流全体を裏から支援する役割や事業者が「イネーブラー」と位置づけられています。
2030年度までは「集中改革期間」と位置づけられ、持続可能な物流網の維持に向けた取り組みがより本格化していくと予想されています。
おわりに
今回は、日本の産業構造の歩みとともに、高度経済成長期から2030年までの物流ビジネスモデルの変遷を見てきました。
日本の産業構造は、大量生産・大量販売の「製造業中心の社会」から、ネット通販が主流の「デジタル社会」、そして「サステナビリティを重視する社会」へとシフトしています。
これに伴い、物流もまた「メーカーが配送までを管理し大量に運ぶ」形から、デジタルで繋がり、さらには個社を越えて「社会全体で共同利用する」形へと変化を続けています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
私たちPALは、現場の実務運営(3PL)を通じて、4PLや共同利用に対応できる土台づくりを支援する「物流BPO」サービスを提供しています。ぜひ、以下の特設ページから詳細をご覧ください。
