倉庫ピッキングの「歩行ロス」を削減する現場改善

倉庫ピッキングの「歩行ロス」を削減する現場改善

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はじめに

倉庫のピッキング作業において、1日2万歩(距離にして約15km)近く歩き回ることは、現場では当たり前の光景かもしれません。

しかし、この「当たり前」を疑うことこそが、現場改善のスタートラインです。
実はこの「たくさん歩く日常」の中に、現場の生産性を引き下げてしまう大きなロスが隠されていることにお気づきでしょうか?

今回は、今日からでも現場を見直すヒントとなる、「歩かない現場づくり」の改善アプローチについて解説していきます。

知られざる歩行ロスの実態

ピッキング作業における移動は、肝心の「出荷」という価値に繋がっているのでしょうか?

実は、ピッキングという一連の作業時間の中で、実際に商品を棚から手に取っている時間はごくわずかです。
その時間の半分以上は、ただ目的の棚に向かって「歩いている時間」だと言われています。

業務改善の視点では、この移動時間は「歩行ロス」と呼ばれ、出荷や仕分けといった直接的な価値(付加価値)を生み出していない時間と位置づけられます。

つまり、スタッフが1日2万歩歩いてヘトヘトになっていたとしても、そのエネルギーの半分以上は「ただ歩くこと」だけに消費されてしまっているのです。
これでは、スタッフが疲れれば疲れるほど、作業効率が落ち、ミスが起きやすくなるのも無理はありません。

現場の生産性を高め、スタッフにとって働きやすくするためにも、まずはこの「移動というロス」の存在を正しく認識し、足元の負担を減らす視点を持つことが重要になります。

歩かない現場をつくる3つの工夫

ピッキング作業時間の大半を占めている「移動時間」を減らすためには、現場のレイアウトや作業方法そのものを「歩かなくてもいい構造」へと転換していく必要があります。

そのための効果的な3つのアプローチを整理しました。

歩かない現場をつくる3つの工夫

1.商品ロケーション(配置)の最適化

一番手軽に始められるのが、棚の配置変更です。
「どの商品が、いつ、どれだけ出荷されているか」を整理し、出荷頻度の高い商品を動線の手前に、低い商品に配置し直します。
こうするだけでも、奥まで歩いていく無駄な移動を大幅に減らすことができます。

2.まとめて取って定位置で仕分ける仕組み

何度も往復して歩くのを防ぐために、複数の注文をシステム上で1つにまとめ、1回の移動でまとめて商品を回収してしまいます。
集めた商品は、作業台に戻ってからデジタル表示器などを使って直感的に仕分けることで、移動効率を最大化します。

3.商品を人の元へ運ぶ自動搬送ロボット(AGV)の導入

人が棚を探し回るのではなく、棚(商品)をAGVが定位置にいる作業者の元まで自動で運んでくる仕組み(GTP)です。
作業者は「歩行」から解放され、手元の作業に集中できるようになります。

このように、一言に「歩かない現場づくり」と言っても、手軽な工夫からロボット導入までそのアプローチは様々です。

とりあえずの改善はNG?「正しい順序」で進める歩行削減

現場を「歩行レス」にアップデートするためには、焦らずに正しい順序で進めていくことが何より大切です。

ここからは、歩かない現場づくりを成功に導くための、具体的な改善プロセスをご紹介します。

① すべての土台は「出荷データの分析」から

「よく出る商品を近くに置く」というのは基本ですが、現場の「なんとなくこの商品がよく出ている気がする」という主観や感覚だけで棚の配置を動かしてはいけません。

まずは、WMSERP(基幹システム)に蓄積されている「出荷実績データ」を活用した分析が先決です。
データという客観的な裏付けなしに配置を動かしてしまうと、期待した効果が出ないばかりか、かえって動線を複雑にし、現場を混乱させる原因にもなりかねません。

② 改善は「段階的なアプローチ」で進める

最初からAGVなどの設備導入を急ぐ必要はありません。

まずは分析データに基づいた、商品ロケーションの最適化や効率よく一度に回収する仕組みなど、今ある環境でできる工夫から足元の歩行量を削っていきます。
そうして現場での工夫を重ね、手作業での削減に限界を感じた段階で、初めてAGVなどのロボットによる自動化を検討します。

この段階的な順序を守ることこそが、投資を無駄にしない、失敗しない現場改善のロードマップです。

おわりに

倉庫ピッキングの「歩き回り」を削ることは、生産性を高めるだけでなく、スタッフの体力的・精神的な負担を取り除く効果的な現場改善です。

大切なのは、自社の現場の規模や予算、そしてスタッフの状況に合わせて、無理のない方法を検討することです。

現場を少しでも楽でスマートな環境にするために、まずは自社に合いそうなアプローチを頭の中でイメージすることから始めてみましょう。

株式会社PALでは、歩行距離をほぼゼロにする自動搬送ロボット「Core GX」や、手軽に導入できる仕分けシステム「Core AX」など、現場に合わせた「歩かない仕組みづくり」を支援しています。

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